2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラスミド機能の発現を支配する染色体間相互作用形成の鍵因子の機能解明
Project/Area Number |
08F08101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野尻 秀昭 The University of Tokyo, 生物生産工学研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUN Choong-Soo 東京大学, 生物生産工学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | Pseudomonas putida / プラスミド / 生分解 / H-NS様因子 / pCAR1 / 転写制御 / MvaT様因子 |
Research Abstract |
前年度の研究よりpCAR1を保持したP.putida(pCAR1)株の中ではPmrとTurA,TurBが主に相互作用する可能性が示唆された.今年度はこれら3つのH-NS様因子がゲノム全体の転写ネットワークの中でそれぞれどのような役割を担っているかを確認するため,各H-NS様因子遺伝子脱落株を作製した.各脱落株に対する高密度タイリングアレイを用いた解析で各因子がP.putida(pCAR1)株のトランスクリプトームに与える影響を調べた.その結果,各因子の脱落によりそれぞれ数百の遺伝子の転写レベルが2倍以上もしくは1/2以下に変動することが見出された.これらの転写変動した遺伝子群を解析した結果,3つの因子はそれぞれプラスミド・染色体両ゲノムに対して共通した影響だけではなく各々の因子固有の役割を果たしていることが示唆された.これらのH-NS様因子タンパク質は遺伝子に結合することによりその機能を発揮することが知られているので次は各因子が染色体上のとの部位に結合しているかを調べるためにChAP-chip解析を行った結果,TurA,TurB,Pmrは染色体上のGC含量が低い領域と推定外来遺伝子領域に高い割合で特異的に結合していることが見出された.また,これらの因子は遺伝子領域より遺伝子間領域に結合し遺伝子の転写制御を行っていることが示唆された.プラスミド上に存在するH-NS様因子に関する研究は現在まで報告例が少なくその研究内容も基礎的なものに留まっているのが現状である.本研究で明らかにしたPmrの機能はプラスミドに存在するH-NS様因子の研究の中では初めてであり,プラスミドと宿主染色体上の遺伝子制御機構及びプラスミドの環境中での振る舞いを理解するにあたり重要な知見を見出した.以上の内容は現在,国際ジャーナルに投稿するため論文作成中である.
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Research Products
(6 results)