2009 Fiscal Year Annual Research Report
魚類イリドウイルス病ワクチンの改良と免疫成立判定法の確立
Project/Area Number |
08F08107
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉水 守 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KWON Se ryun 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | マダイイリドウイルス / ワクチン / 免疫成立判定 |
Research Abstract |
1)ホルマリン不活化RSIV培養液接種ブリの血清を用い、ELISA法による抗RSIV抗体の検出法を検討した。RSIV培養液を蒸留水で10倍に希釈し、37℃で16時間乾燥させるとRSIV抗原をELISAプレートに効率的に固定できた。RSIVワクチンに含まれるFBSに対する抗体が誘導され、抗体検出ELISAの精度が著しく低下するが、ブリ血清に終濃度でFBSおよびスキムミルクを各々50%および5%(w/v)となるよう添加し、25℃で1時間処理すると血清中の抗BSA抗体が完全に吸収され、抗RSIV抗体のみを特異的に検出できた。2)MCPとArPase遺伝子に基づいた系統解析の結果、RBIVおよびRSIVを含むゲノグループI、ISKNVを含むゲノグループII、FLIV、TBIVおよびターボット分離株を含むゲノグループIIIに分類され、日本で分離したRSIVは何れもゲノグループIに分類にされた。3)培養RSIV液を用いた病原性試験で、RSIVの50%致死量(LD_<50>)は約0.1 TCID_<50>/fishと算出され、RSIVの感染価、細胞の肥大化および病原性の関係が矛盾することが示された。これはRSIV以外のウイルスが本病に関与している可能性を示唆する結果となった。RSIVの感染価および病原性に対するTrXの影響を検討した結果、細胞培養系(in vitro)ではTrX処理によりRSIVの感染性が消失したが、病原性実験結果(in vivo)ではTrX処理により失われた病原性は極僅かであった。また、TrX処理RSIV験区の死亡魚の臓器からRSIVが再分離さ、RSIV以外のウイルスが本病あるいはRSIVの増殖に関わっているという仮説を裏付けると考える。肥大化したRSIV感染GF細胞を電子顕微鏡で観察した結果、直径160nmと60nmのサイズ異なるウイルス粒子の存在が認められた。60nmのウイルスをMegalocyti-関連ウイルス(McAV)とした。以上、本研究により、マダイイリドウイルス病にはRSIVの他に、RSIVの病原性、増殖およびCPE生産に関わるMcAVが存在する可能性が示唆され、本ウイルスをワクチン抗原に加える必要があることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)