2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物の土壌圏のリン有用性を高める戦略への土壌から細胞、ソースからシンクへの展開
Project/Area Number |
08F08109
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖 陽子 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AKHTAR M.S. 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アブラナ科植物 / リンの吸収 / リン欠乏条件下 / リン利用効率 / 可溶性リン源 / リン・カルシウム・亜鉛の挙動 / 品種間差異 / 根部 |
Research Abstract |
土壌と植物との連繋体でPの挙動を概観した場合、土壌中で吸着されたリン酸イオンは、酸化物鉱物やアロフェンを含む土壌では植物による利用率が低い。しかし、有機酸イオンは、リン酸イオンと同様配位子交換により鉱物に吸着する能力をもち、植物根は特有の有機酸を分泌し、それらと交換して土壌溶液に出てきたリン酸を吸収する能力を持っている。この現象と仕組みを土壌中のP欠乏に耐性を持ち、少ないリン酸イオンを的確に植物体内で有効化するナタネ品種を用いて明らかにし、その特性を今後必ず生じるP欠乏時代に備えて、リン酸化学肥料等の施肥量を減少させる持続的な作物生産や土壌中のPの存在の維持管理に活用することが本研究の目的である。本年度は、P吸収・溶解性・利用効率、P再移動・再移行、相対的P耐性を解明するために、Ca_3(PO_4)_2及びリン鉱石の2種類の異なる可溶性リン源を培地として供試し、KH_2PO_4及びNH_4H_2PO_4処理区と比較しながら、遺伝的に異なるナタネ品種を育成した。 得られた結果は下記の通りである。 (1)品種間差異はバイオマス生産、P及びCa体内含有量、Pストレス要因、P利用効率に現れた。 (2)水溶性Ca-Pを必須栄養素が含まれた寒天に浮かべて培養した結果、窒素源としてアンモニア態を用いると根圏における溶解が生じたが、硝酸態では溶解しなかった。 (3)リゾボックスの実験から、一次根の伸長速度はP供給が増加するに伴い増加したが、一次根の分枝帯の伸長速度は減少した。また、P欠乏条件下では、側根の伸長は促進した。 (4)P欠乏条件下の根部から滲出したカルボキシラートの量と型は、Pが豊富に供給された場合と異なることが確認された。 (5)P添加により、バイオマス生産に品種間差異が認められたが、Zn供給は何ら影響を及ぼさず、P供給が増加するに伴い、Znの吸収を低下させた。
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Research Products
(6 results)