2008 Fiscal Year Annual Research Report
家畜の遺伝性および感染性疾患の分子診断と予防に関する研究
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08F08112
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大和 修 Kagoshima University, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN M. A. 鹿児島大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 黒毛和種牛 / 遺伝病 / ライソゾーム蓄積病 / 糖蛋白代謝異常症 |
Research Abstract |
平成20年度には、過去に当教室で発見されたが疾患未同定であった黒毛和種のライソゾーム病(J.Vet.Med.A,2006)について、疾患を同定するために以下の実験を実施した。 1.生化学的分析結果 発症個体の保存試料を分析した結果、シアル酸結合オリゴ糖ならびにGM3ガングリオシドが、正常個体の試料に比較して、増加・蓄積していることが推測された。 2.候補遺伝子配列の解読 上記の生化学的分析結果から、ある種の糖蛋白代謝異常症の可能性があることが推定されたため、いくつかの候補遺伝子の内、NEU1およびPPGB遺伝子のエクソン部分の配列をダイレクトジーケンス法にて解読した。その結果、両遺伝子配列には、本疾患に関わるような異常は認められなかった。 3.既知遺伝子変異の調査 牛のライソゾーム病には、α-マンノシドーシスの原因となる変異が2種類、β-マンノシドーシスの原因となる変異が1種類知られている。したがって、これら3種の変異の有無をPCRおよびシーケンス法にて調査した。その結果、本症例にはこれらの変異は認められなかった。 以上の結果より、本黒毛和種症例は、ライソゾーム病の中でも糖蛋白代謝異常症のひとつである可能性が高いことが明らかになった。しかし、シアリドーシスおよびガラクトシアリドーシスはほぼ否定され、αおよびβ-マンノシドーシスについても、過去に報告された変異には関与していないことが示された。
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Research Products
(2 results)