2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌の転移に関与する新規遺伝子の同定と作用機構の解明
Project/Area Number |
08F08119
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Qing 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 癌転移 / 肺癌 / DNAアレイ / Rac / インテグリン / Gタンパク質 |
Research Abstract |
ユニークな転移関連遺伝子を同定するために、マウス肺癌の親株と高転移株,(H7 vs H7-0;C4 vs C4-Ly)の開でDNA chipによる遺伝子発現プロフィールの比較を行い、転移の亢進に伴って発現が増強又は低下する数十個の遺伝子を同定した。その中、Rhoシグナル伝達関連遺伝子であるCyr61, integrinβ2,β3,Arhgap29及びARAP3において、高転移株で共通して発現の上昇が見られた。 そこで親株のH7にARAP3の遺伝子を導入し、安定発現株を樹立した。このARAP3 transfectantsでは、細胞の増殖能及び運動能の亢進が見られ、また、controlに比べ、RhoA及びCdc42の活性変化は見られなかったが、Rac1の活性が明らかに低下し、更にraft fractionsでのRac1の局在も減少する傾向が見られた。integrinのligandであるCyr61の結合から低分子量G蛋白質に至るシグナル経路を解明するために、免疫沈降を行ったところ、integrinβ1とARAP3の共沈が示された。これらの結果から、Lewis肺癌細胞において、Cyr61は細胞膜においてintegrinβ1、ARAP3と複合体を形成することによって、ARAP3のGAP作用の標的分子Rac1の活性を低下させ、癌転移能を増強することが示唆された。 さらに、同時に同定した癌転移関連遺伝子の候補から、Urea transporterであるUT-Bに着目し、親株のH7にUT-Bの遺伝子を導入した結果、細胞の増殖能及び運動能の亢進が見られた。現在、UT-Bに存在する唯一のN-glycosylation siteの点突然変異クローン発現ベクターを作製し、UT-BのN-グリカンによる癌転移促進活性への影響を検討している。
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