2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける動脈硬化発症機序の解明
Project/Area Number |
08F08126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 秀樹 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAO J. 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 動脈硬化 / 脂質異常症 / コレステロール / 酸化LDL / メタボリックシンドローム / 酸化ストレス / スカベンジャー受容体 |
Research Abstract |
動脈硬化の発症・進展にコレステロール、特にLDLコレステロールが重要な役割を果たしており、悪玉コレステロールとも言われ臨床の場での動脈硬化予防治療の指標となっている。このなかでも、これまでの種々の検討から、酸化LDLが動脈硬化の発症・進展に重要であることが示唆されていたが、その実際の重要性については、不明な点が多かった。そこで、我々は、高LDL血症を保ちつつ、酸化LDLを低下させた場合、動脈硬化の発症進展にどのような影響を及ぼすか、検討を行った。アデノウィルス遺伝子導入法を用い、高コレステロール血症により動脈硬化を発症することが知られているモデルマウスであるアポE欠損マウスの肝臓に選択的に、酸化LDLの受容体として知られるLOX-1蛋白の遺伝子導入を行った。その結果、肝でのLOX-1の発現に伴い、血中の酸化LDLは減少した。酸化LDLはLDL成分のごく一部であるため、LDL値には有意な変化がなかった。この状況で、アポE欠損マウスの動脈硬化の進展は、ほぼ完全に抑制され、酸化LDLが動脈硬化の発症・進展に関する非常に大きなインパクトが証明された。さらに、肝でLOX-1を発現させたマウスでは、酸化ストレスの軽減が観察され、酸化LDL自体が全身での酸化ストレスの亢進にかかわり、それがさらに動脈硬化を悪化させているという機序が考えられた。この結果を踏まえ、今後は、酸化ストレスや小胞体ストレスといったストレス応答シグナルと動脈硬化の関連について、さらに詳細に検討することを予定している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Impact of Plasma Oxidized LDL Removal on Atherosclerosis2008
Author(s)
Ishigaki Y, Katagiri H, Gao J, Yamada T, Imai J, Uno K, Hasegawa Y, Kaneko K, Ogihara T, Ishihara H, Sato Y, Takikawa K, Nishimichi N, Matsuda H, Sawamura T, Oka Y
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Journal Title
Circulation 118
Pages: 75-83
Peer Reviewed
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[Journal Article] Regulation of Pancreatic β cell Mass by Neuronal Signals from the Liver2008
Author(s)
Imai J, Katagiri H, Yamada Y, Ishigaki Y, Suzuki T, Kudo H, Uno K, Hasegawa Y, Gao J, Kaneko K, Ishihara H, Niijima A, Nakazato M, Asano T, Minokoshi Y, Oka Y
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Journal Title
Science 322
Pages: 1250-4
Peer Reviewed
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[Presentation] 動脈硬化発症・進展における小胞体ストレス応答の役割2008
Author(s)
高俊弘, 片桐秀樹, 石垣泰, 石原寿光, 山田哲也, 荻原健英, 今井淳太, 宇野健司, 長谷川豊, 金子慶三, 鈴木俊伸, 齋藤徳郎, 工藤宏仁, 突田壮平, 檜尾好徳, 森正敬, 岡芳知
Organizer
第51回日本糖尿病学会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20080522-20080524