2008 Fiscal Year Annual Research Report
道家思想への解釈から見る日本近代思想-明治・大正時代を中心として
Project/Area Number |
08F08302
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
池田 知久 Daito Bunka University, 文学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAO F 大東文化大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 道家思想 / 老子 / 荘子 / 日本近代思想 / 明治・大正時代 / 日中比較研究 |
Research Abstract |
私は平成20年11月末に来日してから、まだ半年しか経っていない。その為、初年度の研究計画をまだ十分貫徹していないし、正式に公表された研究成果もまだない。ここで、これから公表する予定の研究成果を報告させて頂きたい。1、平成21年度に中国河南師範大学出版社で出版する予定の『老子』(国学新読本叢書)という著書の中に、日本人学者は如何にして新しい理論・方法を用いて老子思想を考察したのか、このような新しい理論・方法及び学風は中国人学者にどのような影響を与えたのか、日本人学者はどのような研究成果が出されていたのかについて述べている。2、「近三十年日本的『荘子』研究動態」という論文は、『諸子学刊』第二号(華東師範大学出版社、2009年)という雑誌で刊行されることになっている。この論文は、とくに日本文化における道家思想は時代の変遷に応じてどのような変化が生じたのかという点について述べている。3、2009年7月に、私は「明治・大正時代における老荘思想」というテーマで、斯文会で講演することになっており、いまその準備を行っているところである。この講演はとりわけ日本において道家思想の研究は如何にして旧学から新学へ転身したのか、また、日本の近代化の中、道家思想の地位は如何なるものだったのか、美学・科学・宗教意識と密接に関係する道家思想はどのようにして新たな立場から理解され、改めて日本人の精神世界(哲学思想・政治思想・経済思想などの領域)の中に融合されたのか、近代化に伴って生じてきた実業家や文学者・ジャーナリズムのような新しい社会階層は老荘思想へどのような解釈を与えたのか、ということを述べたい。
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