2009 Fiscal Year Annual Research Report
自動車産業における拡大生産者責任の順応的管理モデルに関する研究
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08F08309
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大谷 淳 Waseda University, 国際情報通信研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Y. 早稲田大学, 国際情報通信研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 拡大生産者責任 / 産業廃棄物 / 適応的管理 |
Research Abstract |
本年度は利害関係者として、昨年度までの政府と製造企業に、リサイクル業者を加えた三者を検討対象とすることにし、この利害関係者間の特性をヨーロッパの企業(世界的経済危機の影響が甚大な自動車産業から、影響の小さい電気電子産業に研究対象を変更した)に対する聞き取り調査により調べた。その結果、電気電子産業における産業廃棄物の収集とリサイクルには、運用管理面と技術的側面双方の問題点が含まれることが明らかになった。これらの問題の一つとして、重量物の多くはリサイクルされているにもかかわらず、貴金属と化学物質等の処理には膨大なエネルギーが必要とされるため、適切にリサイクルされていないことがあげられる。これは、拡大生産者責任(EPR)の本来の目的を守らない、環境に優しくない状況と言える。廃棄物収集とリサイクルのエコロジー的価値を強調できていないことがこの状況の主要原因である。不適切な運搬と分別されていないリサイクル処理の問題も解決されるべきである。これらを鑑み、エコロジー的価値に基づく廃棄物収集のためのネットワークを評価するシステムを構築することにした。昨年度までの研究成果および前述の調査の結果に基づくと、ヨーロッパの政府の施策と米国の市場主導管理システムを統合し、経済的効率性とエコロジー的有効性の実現を目指すのが望ましいと考えられる。一方、廃棄物の収集とリサイクルのコストの効率を向上させるためには、収集速度とリサイクル率の低さの問題を解決すべきであり、製造業者の報奨を増やすことが有効と考えられる。また、製造業業者とリサイクル業者の収入、支出を分かち合う機構や、製造業者が媒介者を利用して消費者のリサイクルへの動機付けを行うことが、結局製造業者の利益につながることが明らかとなった。このような結果に基づき、利害関係者間の相互の影響のモデル化を進めている。
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Research Products
(4 results)