2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯における持続的な人工造林:生態、経済、政治研究の融合
Project/Area Number |
08F08310
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HIDAYAT Herman 京都大学, 東南アジア研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 人工造林 / 東南アジア / インドネシア / 政治生態学 / 森林保全 / 合板産業 / 土地利用権 / NGO |
Research Abstract |
本研究は、熱帯における持続的な人工造林を実現する制度と組織を提案することを目的とする。持続的な人工造林や人工林の活用は今後の熱帯域における森林保全の中心的課題となりつつある。東南アジアにおいてこのような人工造林が本格化したのは自然林の枯渇が認識されるようになった1980年代以降である。そこで、過去20年間の人工造林の実態とそれを担った組織と制度の政治生態学的分析を通じて、地域環境や地域経済に配慮した人工造林のあり方を検討する。 平成22年度は、インドネシアに加えて、タイ、フィリピン、ベトナムにおける人工造林と合板産業の展開について、政府関係者、民間企業、農民、NGO関係者等へのインタビューと各種統計資料の比較分析を進めた。その結果、1)いずれの国においても、人工造林政策は環境保護政策と産業育成政策の二面性があること、2)人工造林は、インドネシアで最も急速に拡大しているのに対して、フィリピンではあまり拡大しておらず、国による違いが大きいこと、3)人工造林は、タイ、フィリピン、ベトナムでは小農が主たる担い手になっているのに対して、インドネシアでは企業によるプランテーションが主流であること、4)人工造林や合板産業に関するインフラや制度の整備については、タイ、フィリピン、ベトナムと比較して、インドネシアが未成熟であることが明らかになった。これらを総括すると、今日、とりわけ土地利用権の付与をめぐる小農と大企業の関係を、対立するものとして捉えるのではなく、人工造林を基盤とする木材産業の萌芽期における役割分担と考えることにより、両者の共存共栄が可能となることを提唱した。これらの成果をワーキングペーパーとして公表する準備を進めている。
|
Research Products
(3 results)