2010 Fiscal Year Annual Research Report
パキスタンにおけるイスラーム金融の急成長とそのイスラーム世界における経済的可能性
Project/Area Number |
08F08311
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 泰 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HASSAN Mehboob Ul 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イスラーム金融 / イスラーム経済思想 / パキスタン経済 |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度までに収集した文献および資料の収集を用いて、パキスタンのイスラーム金融のプレゼンスを国内金融産業の観点から再評価するとともに、環インド洋世界の広い文脈でその実践を捉え直す研究を行った。 パキスタンのイスラーム金融の実践の国内的インパクトについては、前年度までの現地調査以来、イスラームに適合的な金融手法で投資活動を行う「モダーラバ・カンパニー」が、国内においてイスラーム銀行以上に重要な役割を占めていることが明らかになりつつあったが、本年度の「モダーラバ・カンパニー」の資料を分析の結果、そのことを実証することができた。また、モダーラバ・カンパニーが1980年代から現在にいたるまで安定的な成長を遂げている一方で、いわゆる「イスラーム銀行」は、同期間に、幾度も制度的行き詰まりに直面し、必ずしも安定的な長期的成長の軌道には乗り切れていないことも明らかになった。これらの成果については、アジア経済研究所の研究叢書『世界に広がるイスラーム金融』において日本語で公表した。 一方、環インド洋世界の文脈におけるパキスタンのイスラーム金融の役割については、前年度に続いて、パキスタン出身で中東諸国に進出している法学者やイスラーム金融研究者について、とりわけ著名な人物を取り上げ、その思想や理論を検討した。とりわけ、継続的な聞き取り調査を行っているフルシード・アフマドについては、その聞き取り調査の内容を学術雑誌『イスラーム世界研究』において公表するとともに、アフマドが中東・南アジアのイスラーム金融の実践に与えた理論的影響力の大きさの評価を試みた。
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Research Products
(2 results)