2008 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭の日露接近における「皇室外交」と「国民外交」:国際関係理論を展望して
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08F08312
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 康浩 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BARYSHEV E. A. 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 日露関係 / 皇室外交 / 国民外交 / 国際関係理論 / 同盟 / 国際研究者交流 / ロシア連邦 |
Research Abstract |
本年度、研究分担者は、研究課題に設定した明治・大正期の日露関係における「国民外交」及び「皇室外交」の諸側面に光をあてる作業を開始した。2008年10月11日に開催されたロシア史研究会大会セッションでの報告(「本野一郎の外交とシベリア出兵問題」)、および韓国の釜山で同年11月29日に開かれた東北亜細亜文化学会・東亜細亜日本学会連合国際学術大会での報告(「20世紀初頭の日露関係と「皇室外交」-ゲオールギー・ミハイロヴィッチ大公の訪日を事例にして」)は、その最初の成果である。 以上の作業とは別に、分担者は明治・大正期の日本の政治体制における天皇の位置、および帝政ロシアにおけるツァーリの位置について資料収集を行い、両者の共通点や差異に関する研究も開始した。特に、2008年1月下旬から2月末までの間に分担者は東京とモスクワの文書館等で作業を進め、20世紀初頭の日露関係に関わって、特に皇族訪問(「皇室外交」)や経済界の動き(「国民外交」)に関する資料を収集し、現在、これらの資料の分析を行っているところである。「国民外交」と「皇室外交」との乖離あるいは一致は、日露両国の社会史に少なからぬ照明を与える注目すべき現象であると考えられる。 研究代表者は、分担者による以上の作業をサポートしながら、国家関係における独特な「友好」現象である「同盟」に関する国際関係理論の先行研究をフォローする取り組みを開始した。特に、同盟研究で知られるS・ウォルト、R・シュウェラー、G・スナイダーらの見解を検討し、分担者の実証研究と接合させる可能性を探り、新たな理論枠組みの構築に向けて考察を進めている。
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Research Products
(2 results)