2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 広 京都大学, 経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Guan Can 京都大学, 経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 東アジア鉄鋼業 / 市場経済 / 企業家精神 / 経済進出 / 中国経済 / 資本主義 / アジア地域協力 / 経済危機 |
Research Abstract |
平成22年度は科学研究費受領期間としては前半の半年しかなかったが、この半年を有効に使い、また受領期間の後の平成22年度後半期の活動を含めて主に中国と韓国の鉄鋼業をはじめとする産業発展および対外進出、そして産業構造高度化の実態を調べるべく多くの作業を行なった。また、研究発表も、京都大学や島根大学主催のシンポジウム、セミナー以外でも現代中国学会、中国経済学会、北東アジア学会、日中統計学シンポジウム、日中経済統計学国際会議などで行ない、研究成果を社会に還元した。 文献収集とその分析、調査によって特に明らかとしたことは以下の諸内容である。すなわち、世界経済危機の東アジア鉄鋼業への影響、その東アジア協力による克服の課題と効果、東アジアにおける鉄鋼産業の構造変化、戦後日本鉄鋼産業や他の素材産業の発展過程との比較、先進技術の後進国への伝搬の経済成長への影響、企業システム、市場システムや法との関係、韓国主要産業の発展の中における鉄鋼業の位置、中国経済の現段階の特質、それが現段階の旺盛な企業家精神の結果であること、しかし中国全土・全民族がその旺盛な企業家精神を持っているわけではなく、民族ごと、地域ごとの相違があること、旺盛な企業家精神は対外的な経済進出の背景ともなっており、その中で鉄鋼の供給も増やされていること、インフラ建設には特に鉄鋼需要拡大の効果があること、農業など他産業との相違などである。これらは今後の東アジア産業研究にとって重要な認識となるものと確信する。本研究の申請時には世界経済危機が発生していなかったが、その影響と克服策に関する研究は今回新たに震災という試練を受けて特に重要な研究となったものと思われる。 なお、ふたりの本事業研究者は特に経済分析を数量的に行うという点に力点を置いており、そのため最新の計量経済学の成果も学ぶ必要があった。関連書籍と新しいソフトウェアを購入し、さまざまなデータ分析を行った。
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