2008 Fiscal Year Annual Research Report
教育と所得の地域間格差とその移住と経済成長に与える影響
Project/Area Number |
08F08314
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
駿河 輝和 Kobe University, 大学院・国際協力研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BYAMBAJAV E.-A. 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 収束性 / 一人あたりGDP / 収束速度 / 移住 |
Research Abstract |
発展途上国の経済成長に関する研究の中でもっとも重要な問題の一つは地域間の所得格差である。この問題について理論と実証の両面から多くの研究がなされているが、モンゴルのような小国を対象したものは極めて少ない。 したがって、モンゴル国の22アイマグ(日本の都道府県と同様な意味)と5つの地域(生活水準によってさらに5つの地域に分割される)の一人当たりGDPの間に収束性が存在しているかどうかを研究した。 モンゴル国で国内機関と国際機関とが協力して行った調査によると、全人口の3分の1を上回る36パーセントの人々は貧困ライン以下のレベルで生活している。特に貧困は都会より地方において大きな問題である。したがって、経済成長を長期間にわたって安定して持続し、一人当たり所得を増やすことにより、地域間の所得格差を縮小させることが経済政策のもっとも重要な目標の一つである。しかしながら、モンゴル国では、地域経済の発展と地域の所得格差に関する研究はほとんどなかった。 モンゴル国のクロス・リージョナルデータ(1989-2004)に基づいて始めて定常状態への収束速度を推計した。推計結果をみるとモンゴル国の22アイマグと5つの地域の一人当たりGDPの間に収束性が存在している。さらに、定常状態への収束速度はソロー=スワンモデルでは3パーセント、ラムゼイモデルでは4.3パーセントである。この推計された収束速度は、ほとんどの他の研究に比べて、より高くなっていることは注目に値する。さらに、移住は地域格差の収束に重要な役割を果たしていることを示した。
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