2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08317
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松井 美樹 横浜国立大学, 経営学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHAN Chi Anh 横浜国立大学, 経営学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 品質マネジメント / 文化 / 実証研究 / 国際比較 / 品質情報 / 成果指標 |
Research Abstract |
本研究の目的は、製造企業における品質マネジメントと文化に関するデータを収集し、国の文化が日本の品質マネジメントに与える影響を明らかにし、日本企業とその他のアジア諸国に立地する企業との比較分析を行うことにある。本年度は改善活動の移転可能性を議論するため、国の文化と組織の文化を明確に区別するホフステッドのアプローチを採用した。すなわち、権力との距離感、不確実性回避性向、個人主義/集団主義、男性的/女性的といったホフステッドの国の文化の次元が3つの典型的改善活動にどのような影響を及ぼすか検討するとともに、集権化度、協調行動、プロセス志向という組織文化の3側面も考慮に入れた。第一の発見は、国の文化が改善活動の転換に及ぼす影響に関するものであり、改善活動の実践度合いは権力への距離感が低く、女性的で集団主義的な文化と密接に関わりをもち、不確実性回避性向が低い文化と親和性が高いことを見出した。不確実性回避性向が低い文化は新しいものや変化を受け入れる余地が大きく、そのような文化をもつ国はイノベーションを刺激し、新規性の高いアイデアを重要視する傾向を持ち、事業を取り巻く内外の環境で発生する変化に単に対応するだけではなく、柔軟かつ能動的に行動するものと考えられる。この結果は、日本の改善活動が日本的でない文化的環境にも移転可能であることを示唆するものである。国の文化に加えて、組織の文化も改善活動の採用に有意な影響を及ぼしている。改善活動にとって最も大きな障害は、集権化と部門間の協力の欠如である。改善活動の採用に成功する確率を高めるためには、権力の委譲や管理者と作業者、顧客、供給業者の間の協調行動という組織の文化の2側面が特に必要となる。このような国と組織の文化が改善活動に及ぼす顕著な影響は、改善活動の成功的転換のための普遍的モデルは存在しないことを示唆している。成功確率を最大化するため、改善活動はそれぞれの地域の文化に適応させるべきと結論づけられる。
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Research Products
(9 results)