2008 Fiscal Year Annual Research Report
都市高齢者の孤独問題と社会的ネットワーク-日中比較研究を目指して
Project/Area Number |
08F08318
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松本 康 Rikkyo University, 社会学部, 教授
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Keywords | 高齢化 / 地域ケア / 市民協働 / 起業支援 / 孤独感 |
Research Abstract |
本研究は、核家族のもとで少子高齢化が急速に進んでいる都市在住の高齢者の孤独問題を、東アジアに共通する課題として捉えた上で、日本・中国・韓国の比較という観点から、家族・親族、地域社会などの社会的ネットワークと近年重要性を増している地方政府の高齢者政策、および行政・市民の協働との関連で明らかにしようとするものである。 本年度は、東京都三鷹市を事例として、郊外シニア市民の起業支援政策を調査することにより、コミュニティ・ビジネスなどの内発的な産業振興政策という観点から高齢化対策を検討するとともに、同市における保健・医療・行政・住民が連携した地域ケアシステムについて聞き取り調査を実施した。 起業支援政策については、三鷹産業プラザで開催されたSOHO FESTA(展示会およびビジネスプランコンテスト公開審査会)とNPO法人三鷹ネットワーク大学のシニア向け講座の参与観察を実施した。SOHOは、必ずしもシニアに限定されたものではないが、退職後の生き方のひとつとして現役時代のキャリアを活かした事業の成功事例を収集できた。また第三セクター「まちづくり三鷹」やNPO法人三鷹ネットワーク大学が、大企業OBを登用したシニア起業支援策を実施し、一定の成功を収めていることが明らかとなった。 地域ケアシステムについては、三鷹市独自の「地域ケアねっと」について、三鷹市担当者および地域におけるケアねっとのオーガナイザーや傾聴ボランティアに聞き取り調査を行ったほか、デイケア施設についてもフィールドワークと管理者への聞き取りを行った。その結果、特筆すべきこととして、地域ケアねっとが、住協会長を務めていた地域の世話役によって発案されたこと、複雑な介護保険制度と一般住民とをつなぐ相談機能を狙いとしていること、波及効果として、地域・近隣の日常的な生活問題の解決ルートを形成していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
金益基, 林明鮮, 他編著
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Journal Title
韓国投資与山東沿海城市発展(韓国投資と山東沿海都市の発展)(吉林大学出版社)
Pages: 91-105
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