2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルマラ海の北アナトリア断層帯沿いの地震発生域の電磁探査
Project/Area Number |
08F08319
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 康雄 東京工業大学, 火山流体研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANK SabriBulent 東京工業大学, 火山流体研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 地震 / 電磁気観測 / 活断層 / 比抵抗構造 / 3次元解析 |
Research Abstract |
トルコ国を東西に横断する長大な北アナトリア断層においては、これまで巨大地震が西方に移動しながら発生している。1999年イズミット地震の次の来るべき地震は、マルマラ海で起こると推定されているが、その破壊規模を推定するには海底の断層の構造を知る必要がある。そのために、海底電磁気観測を行い、断層の3次元的な不均質構造を解明することが本研究の目的である。これまで、マルマラ海西部の断層セグメント中央部および、マルマラ海中央部の断層セグメントの境界をそれぞれ横切る測線を設定して観測点をそれぞれ5か所配置し、各観測点で1カ月弱の電磁場データを取得してきている。 本格的な3次元解析に先立って、海底における2次元構造による応答について考察を行った。TMモード(磁場が構造の走行方向に存在するモード)の応答は、鉛直状の海底地形は電場の振幅に影響するが、電場の位相には影響しにくいことが分かった。一方TEモード(電場が構造の走行方向に存在するモード)では、鉛直状の海底地形の麓に電流が集中し、それを取り巻く2次的な磁場ができる。この2次的な磁場は1次的な磁場とコンパラな強度を持ち、かつ海底において1次磁場と逆位相になるので、トータルの磁場が非常に大きな影響を受けることが分かった。また、実際のマルマラ海の水深データを用いて3次元応答と計算し、それと2次元応答との比較を行った。この結果、2次元構造に対するTMモードと、3次元応答がよい一致をすることを確認した。これをもとに観測データを、TMモードのみを用いた2次元モデルで解析することとした。解析の結果、これまでIzmit周辺で知られている断層に関係した上部マントルの構造が、マルマラ海の東部の海底下でもつながっていることが分かった。
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