2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08323
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川島 秀一 Kyushu University, 数理学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Yongqin 九州大学, 数理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 板の振動方程式 / 基本解 / 時間大域解 / 線形拡散波 / 漸近安定性 / 減衰評価 / エネルギー法 |
Research Abstract |
消散構造を有する非線形偏微分方程式に対し、その線形化方程式の基本解の各点評価に基づく安定性解析と、様々な非線形波の漸近安定性に関する組織的な研究の展開を目指して研究を進め、次のような成果を得た。 1)消散性を考慮した板の振動方程式に対し、その線形化方程式の基本解について調べた。方程式の持つ消散構造が可微分性損失型であることを明らかにし、基本解に対する精密な減衰評価式を示した。また、低周波域では基本解の精密な各点評価が得られることを検証したが、高周波域では消散構造の脆弱性のため、有用な各点評価を得るに至らなかった。これは可微分性損失型の消散構造の解明に寄与する成果である 2)消散性を考慮した板の振動方程式の初期値問題を考察した。方程式が半線形の場合に、基本解の減衰評価式に基づき、時間大域解の存在とその解の線形拡散波への漸近収束を、摂動部分に対する精密な減衰評価を示すことで証明した。 3)さらに、方程式が準線形である場合には、時間重み付きエネルギー法と低階微分に対する最良の減衰評価を組み合わせる手法で可微分性の損失に伴う困難を克服し、類似の結果が空間2次元以上で成り立つことを示した。空間次元に対する制限は、ある導関数のL^inftyノルムの時間可積分性に起因したものである。これは、空間多次元の場合に、可微分性損失型の消散構造から来る困難を克服するための新たな手法を与えたものであり、この点に本成果の最大の意義がある。
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Research Products
(4 results)