2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 達夫 京都大学, 理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI Kang-Sin 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超弦理論 / 標準模型 / 超対称性 |
Research Abstract |
超弦理論は、重力を含む統一理論の有力な候補である。超弦理論が本当に素粒子物理として、意味がある理論であるならば、低エネルギー有効理論として標準模型を再現するはずである。本研究の目的は、素粒子物理学の様々な現象論的性質が超弦理論の枠組みからどのようにして導出されるのかを研究することである。本年度我々は、まずF理論の現象論への応用について研究を行った。F理論は、IIB型超弦理論の強結合理論を記述すると思われているが、最近そのF理論の現象論への応用が盛んに研究されている。これまでのF理論の模型構築のシナリオはE8群から一度SU(5)群等の大統一理論を経て、標準模型を導出するようなアプローチであった。本年度我々は、SU(5)等の大統一理論を経るのではなく、直接標準模型を構築するような可能性を試み、かなり現実的なスペクトルを得ることに成功した。今後は、そのような研究を更に進めて、我々が構築した模型の質量行列や陽子崩壊、超対称性の破れなどの現象論的な性質の解析をする計画である。一方で我々は、背景磁場のあるブレーン模型の現象論的性質、特にフレーバー構造についての研究を行った。その結果によるとこのような模型では特定の非可換離散群がフレーバー対称性として現れることを示した。その起源は、コンパクト空間の幾何学的対称性ともともと大きなゲージ対称性が背景磁場のために破れる際に残った離散対称性の組み合わせであることを示した。今後はこの解析の結果を生かし、現実的なクォーク・レプトンの質量行列を導出する研究を行う予定である。
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Research Products
(3 results)