2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANACLETO ARROJA Frederico 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | インフレーション宇宙 / 宇宙論的非線形揺らぎ / 非ガウス揺らぎ |
Research Abstract |
今年度は非線形揺らぎのさらに高次の項についての考察を進めた。そして以下の成果を上げた。 1.スカラー場の運動項が正準的でない一般的な場合で,スカラー場の成分がまずは1成分の場合のインフレーション宇宙モデルに関して,曲率揺らぎの4点関数を計算し,対応するトライスペクトルを求めた。この一般的運動項モデルは,弦理論に基づくインフレーションモデルに現れるDirac-Born-Infeldモデル(いわゆるDBIモデル)を含むため,宇宙論的観測による非ガウス性の検出によって弦理論の検証が可能かもしれないとして大きな注目を浴びている。その結果,適当なモデルパラメーターの範囲で,比較的大きなトライスペクトルが生成されることを示した。また,同様の解析を複数成分スカラー場の場合にも実行し,その場合のトライスペクトルを求めた。 2.宇宙の進化の途中で状態方程式が突然変化する相転移があると,2次の重力波揺らぎ(テンソル摂動)が大きく増幅される可能性が指摘されていた。そこで,インフレーション時期が輻射優勢時期に転移する状況を考え,2次の重力波揺らぎの大きさを評価した。その結果,その振幅はインフレーションを起こすスカラー場がゆっくり転がる極限で非常に小さく抑制されることが分かった。 3.最近注目を浴びているHorava-Lifshitz(HL)重力理論において,いわゆる射影条件を課した理論でスカラー重力場の3点相互作用を評価し,赤外領域でアインシュタイン理論を回復するために必要なパラメーターに対する条件が,スカラー重力場の影響を強結合領域にしてしまうため,理論が予言能力を失うことを指摘した。これは射影条件付きのHL重力理論が無意味な理論であることを強く示唆する結果である。
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Research Products
(8 results)