2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノと原子核の反応率とパイ中間子の役割を陽に取り込んだ原子核多体理論
Project/Area Number |
08F08328
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANULEVALVERDE Hermosila 大阪大学, 核物理研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | パイ中間子 / 拡張されたBHF理論 / テンソル最適化シェルモデル / 2p-2h状態 / 水素とヘリウム原子核 / 変分原理 / テンソル最適化少数系理論 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
パイオン交換によるテンソル力の重要性を原子核とハドロンの構造・反応で示した。 (1)テンソル最適化シェルモデル(TOSM)の方法でP殻原子核を記述するための数値計算コードの改良に取り組んだ。計算精度を上げるためP殻の場合に多数のガウス関数を基底として用意した。TOSMを使ってHeアイソトープの計算を行い、テンソル相関がこれらの原子核のスペクトルに大きく影響することを示した。さらにTOSM法を改善するために、この方法を少数多体系の方法に導入しS殻の原子核(d, He3, He4)に対する計算を行った。通常はd波の成分を全てのヤコビ座標に導入した計算を行うが、TOSM近似では一つのd波を導入するのみなので計算速度は大幅に改善される。結果はほぼ完全計算に対応しており、TOSMの有効性を示すことができた。現在はTOSM法を軽い核のみならず、中重核への応用も視野に入れ研究を進めている。殻模型に変分原理を導入することで従来の平均場近似を超えてテンソル相関を取り入れた統一的な記述を目指す。 (2)関連した研究として、ニュートリノの原子核標的による散乱の計算を行なった。この研究で得られた構造の知見を将来的にはTOSMによる核構造の研究と結びつける。さらに重いクォークを含むペンタクォークバリオンでパイ中間子交換によるテンソル力がきわめて重要な役割を果たすことを示した。ハドロン系では、この効果が特に重いクォークを含んだところで顕著に現れることを示し、Belle実験における探索の可能性に結びつける。
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Research Products
(9 results)