2010 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs/AlGaAsヘテロ界面における電子/正孔の非平衡スピン輸送の研究
Project/Area Number |
08F08330
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古賀 貴亮 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FANIEL Sebastien 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | スピントロニクス / 半導体量子井戸 / スピン軌道相互作用 / ラシュバ効果 / メゾスコピック物理 |
Research Abstract |
本研究によって、InGaAs量子井戸のスピン軌道相互作用係数を定量的に決定することに成功した。その基礎となるデータは、科学研究費補助金 若手A(代表者 古賀貴亮)によって得られた、ナノ構造におけるスピン干渉効果である。スピン軌道相互作用係数には、ゲート制御できるRashba係数とバルク物性であるDresselhaus係数の2種類あるが、後者は、ナノ構造におけるスピン干渉効果を実験、理論の両面から調べることにより、InGaAs量子井戸においては、Rashba係数に比べて無視できることがわかった。そこで、ナノ構造を加工しない通常の2次元電子系を用いて、所謂、弱局在/反弱局在効果を系統的に測定し、その実験結果をDresselhaus係数を無視した条件で解析することにより、Rashba係数をキャリア濃度の関数として精密に決めることが出来るはずで、外国人研究員のFaniel氏に対して、そのような研究を行うことを提案した。その結果、Rashba係数の大きさは、キャリア濃度に対してほぼ線形に変化することが初めて明確な実験データとして示された。ポアソン方程式によると、キャリア濃度と量子井戸の内部電場は比例関係にあることが示され、その結果、Rashba係数の大きさが量子井戸の内部電場の大きさと比例関係にあることが、これまでにない精密さで示されることとなった。これにより、半導体バンドエンジニアリングの手法をスピンデバイスの開発に適用することが可能となり、研究開発の効率を飛躍的に上昇さえるなど、その意義は非常に大きい。
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Research Products
(10 results)