2008 Fiscal Year Annual Research Report
外場応答と欠陥観測による液晶散逸構造の物理的性質の研究
Project/Area Number |
08F08333
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NUR QOMARU ZAMAN Rinto Anugraha 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 散逸構造 / 外場応答 / 欠陥 / ソフトモード乱流 / 液晶 |
Research Abstract |
非平衡開放系では「散逸構造」と呼ばれる秩序パターンが形成されることが知られており、代表例として熱対流や液晶電気対流における対流ロールの周期配列が上げられる。これまでの散逸構造の研究では、「時空カオス」とよばれる対流パターンが時間空間的に不規則に変動する現象が何種類か発見され、マクロ秩序変数を用いた決定論的な非線形ダイナミクスの観点から研究されてきた。一方本研究では、液晶電気対流系において、対流モードと南部-ゴールドストーン・モードとの非線形相互作用によって弱非線形領域で生じる時空カオス「ソフトモード乱流」の統計力学的性質を、外場応答と欠陥観測の観点から明らかにすることを目的としている。 液晶が磁化率異方性を有することから、磁場を印加することによって南部-ゴールドストーン・モードの寄与を制御することができる。これを利用して、ソフトモード乱流を外場応答の観点から調べた。2次元XYモデルにおける磁化の式を用いて、対流パターンの局所波数ベクトルに関する秩序度を定義し、オブリクロール領域でのパターン秩序度の磁場強度依存性を定量的に求めた。その結果、パターン秩序度は磁場に対して非線形に増加しており、曲線の変化の仕方から典型的な秩序化過程を(1)線形秩序化領域、(2)非線形秩序化領域、(3)飽和秩序化領域の3つの領域に分類することができた。ただし、制御パラメータである印加電圧が小さい場合は線形秩序化領域が存在しなかった。これは印加電圧が小さいため初磁化率が大きく、非線形秩序化領域との区別が困難になっているためであることが示唆された。
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