Research Abstract |
アフリカ大陸北西部の西アフリカ・クラトンでは,およそ21億年前のブリミアン火成活動が広範に認められる。この活動は,北米,ヨーロッパ,オーストラリアなどが静穏な休止期にあったとされる時期に起こっており,地球規模で進行したとされるマグマ活動の活性期と静穏期のサイクルに調和していない。しかも,ブリミアン火成活動のテクトニックな環境やマグマの活動様式について,これまで異なった仮説が示され,未解決の課題になっている。このようなことから本研究では,ガーナの古原生代ウィンネバーキビ緑色岩帯に分布する変火山岩類,角閃岩,花崗岩類の岩石学的・地球化学的特質を解析し,これらの成因や形成環境を明らかにするとともに,ブリミアン火成活動の時期について検討を行った。 変玄武岩,変デイサイト,グループI&II角閃岩は,海嶺玄武岩・始原マントルで規格化した微量元素図においてNa-Ta,Zr-Hf,Ti異常を示し,プレートの沈み込み帯に関係するマグマの特性を示す。また,花崗岩類も沈み込み帯に添って形成された地殻物質(主に変グレイワッケ)の地下浅所(482~776℃,2.12~2.9kb)での溶融により発生したマグマから形成されたことが明らかになった。一方,変粗粒玄武岩,グループIII角閃岩には,それらを形成したマグマに海洋島マグマ成分の寄与が認められる。Ndモデル年代は,花崗岩類が2.73~2.77Ga,変玄武岩,変デイサイト,グループI&II角閃岩が2.34~2.56Ga,変粗粒玄武岩とグループIII角閃岩が1.48~1.60Gaであった。 本研究で得られた岩石学的・地球化学的知見を総合すると,ウィンネパーキビ緑色岩帯の形成プロセスは,西アフリカ・クラトンに沿うプレートの沈み込み一付加モデルによって最も矛盾なく説明できる。
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