2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋域における大気エアロゾルの有機物組成と粒径分布
Project/Area Number |
08F08338
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FU Pingqing 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大気化学 / エアロゾル |
Research Abstract |
エアロゾルは、太陽光を直接反射・吸収するとともに、雲の形成に深く関与し地表を冷却する効果を持つことから、地球温暖化の中で、気候変動に重要な影響を与える物質である。中国の急激な経済発展にともなう化石燃料の使用の増大は、アジア・太平洋域での微粒子(エアロゾル)濃度を大きく増大させ、その大気質を著しく変える原因となっている。これまで無機物に関する研究は多いが、有機物組成に関する研究は少なく、また、その粒径分布はよくわかっていなかった。本研究の目的は、アジア太平洋域の大気エアロゾルに含まれる有機物の組成を明らかにし、有機物の起源と光化学的変質の情報を入手することである。 平成20年度の研究では、中国・華北平原の泰山(1534m)山頂で採取した大気エアロゾルを有機溶媒で抽出の後、BSTFAをもちいて誘導体化した後にガスクロマトグラフィー・質量分析計にてn-アルカン、多環芳香族炭化水素、糖、アルコール、脂肪酸など100種以上の有機化合物を測定した。発生源毎に有機物を分類したところ、陸上植物に由来するワックスが全体の30-34%、バイオマス燃焼起源が25-27%、土壌粒子が15-18%、光化学反応起源が8-10%、プラスチック起源が3-10%、海洋・微生物起源が6%、工業域からの排出が4%であることがわかった。泰山の山頂は多くの場合、接地境界層の上に位置し自由対流圏の影響を強く受けていることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)