2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋域における大気エアロゾルの有機物組成と粒径分布
Project/Area Number |
08F08338
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FU Pingqing 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大気化学 / エアロゾル / 有機物 / イソプレン酸化生成物 / バイオマス燃焼 / 水溶性有機炭素 / 有機炭素 |
Research Abstract |
インド、北京など中国の主要都市、札幌、東京、海洋にて採取したエアロゾル試料を有機溶媒(塩化メチレン:メタノール=2:1)にて抽出したのちガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)により分析し、主要有機成分(n-アルカン、PAH,脂肪酸、アルコール、糖など)の分子組成を明らかにした。特に、ビスフェノールAに焦点をあて、そのグローバルな分布を明らかにするデータセットを作成した。その結果、インド、次に中国で最高濃度、海洋では一端に低く、南極で最低濃度を示した。この結果は、Environmental Pollution誌に掲載された。また、植物起源イソプレンおよびα-ピネンの酸化生成物である、2-methylthreitol, pinonic acid, norpinic acid, pinic acid等を測定し、植物からの揮発性有機物が二次有機エアロゾルの生成にどう関与するかを汚染の強い影響を受ける中国・インドおよびその影響下にある海洋大気中で明らかにした。その結果、植物起源のVOCの酸化生成物の有機エアロゾルへの寄与が最大で30%であることを見いだした。 北極大気中で冬から初夏にかけて採取したエアロゾル粒子中に、イソプレン、モノテルペン、セスキテルペンの酸化生成物をGC/MSにより検索した。その結果、12種の生物起源VOCの酸化生成物を検出した。イソプレン酸化生成物はマイナーな成分であり、a-ピネンなどモノテルペンのそれ(ピノン酸など)が主要な成分であることがわかった。しかし、海氷が後退する6月初めにはイソプレン酸化生成物が増加した。海氷が融けて海洋の生物生産が増大するのに伴いイソプレンの海洋から大気へのエミッションが増えたと考えられた。有機エアロゾルに占める生物起源VOCの寄与は最大で12%であった。
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Research Products
(18 results)