2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素汚染に対するファイトレメディエーションにおける生分解性キレート剤の活用
Project/Area Number |
08F08343
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 浩 Kanazawa University, 物質化学系, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN Mohammad Azizur 金沢大学, 物質化学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 生分解性キレート剤 / ヒ素 / 土壌汚染 / 植物 / 湿地 / スペシエーション / 生物学的有効性 / 化学的分画法 |
Research Abstract |
本年度は、ヒ素汚染の深刻なバングラディシュの湿地において高濃度のヒ素を吸収しているアズーラ、ホテイアオイに加えて、最も一般的に栽培されているイネに焦点を絞って検討を行った。イネは、日本と同様にバングラディシュにおいても主要な穀物として利用されている。 上記の湿地帯植物の室内培養において、植物の成長量及び無機ヒ素の吸収率を向上させるために数種類の生分解性キレート剤を添加した条件で検討を行った。その結果、キレート剤の濃度が増加するとともに各植物の成長は促進されるが、過剰量の添加は逆に成長を阻害した。培地中における必須元素の成分組成より、植物体の成長を制限する要因は、3価鉄の生物学的有効性に起因することが分かった。すなわち、キレート剤を含まない条件では3価鉄は粒子態が優先しており培地中の溶存態が枯渇するが、キレート剤濃度が増加すると溶解度が増加して培地中における鉄濃度に比例して植物の鉄吸収量が増加する。一方、過剰なキレート剤は、根細胞表面における鉄の取り込み反応に対して競争的に作用するため、鉄の吸収を減少させると考えられる。この条件において、植物の生体内へのヒ素の吸収量は、鉄の吸収すなわち植物の成長量に比例して増加した。従って、ファイトレメディエーションにおいてキレート剤の適度な添加は、植物のヒ素の吸収量を増加させる効果が期待できる。3価及び5価無機ヒ素及びメチルヒ素の吸収量を比較すると、5価無機ヒ素の吸収量が最も高く、3価無機ヒ素及びメチルヒ素に関しては1桁以上低くなった。
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Research Products
(8 results)