2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素汚染に対するファイトレメディエーションにおける生分解性キレート剤の活用
Project/Area Number |
08F08343
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 浩 金沢大学, 物質化学系, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN Mohammad Azizur 金沢大学, 物質化学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 生分解性キレート剤 / ヒ素 / 土壌汚染 / 植物 / 湿地 / スペシエーション / 生物学的有効性 / 化学的分画法 |
Research Abstract |
1.ファイトレメディーションに適した生分解性キレート剤の検討 土壌中におけるヒ素吸収率の向上のためにEDTA及び生分解性キレート剤の適用を検討した。生分解性キレート剤を土壌に混合して、イネの無機及びメチルヒ素の取り込み量を求めた結果、HIDSを添加した場合に最も吸収量が大きくなった。水耕栽培によりイネの根細胞近傍の化学種組成を求めた結果、根細胞表面には粒子態鉄が形成されており、ここに含まれるヒ素の画分が大きいほど細胞内へのヒ素の吸収量も多くなることが分かった。培養液中のヒ素は根細胞表面の粒子態鉄に吸着した後、根に取り込まれると考えられる。 2.ヒ素のファイトレメディーションにおける物質収支のモデル化 生分解性キレート剤存在下における培養液中におけるヒ素の化学平衡と植物体へのヒ素の取り込みまでをモデル化し、化学平衡計算ソフトウェアを利用してヒ素の移動量を定量的に評価した。その結果、以下の2点を見いだすことができた。i)キレート剤の鉄に対する錯形成定数が著しく大きい場合は、根表面における粒子態鉄が減少して、根表面におけるヒ素の吸着量や細胞内への取り込み量は減少する。一方、キレート剤を含まない場合は、培地中における鉄の沈殿とともにスキャベンジャー効果によりヒ素が除かれるため、イネへのヒ素の取り込み量は減少する。ii)根細胞表面において、無機ヒ素種はリン酸/ヒ素トランスポーターを介して細胞内へ取り込まれるが、メチルヒ素種はアクアポリンを経由して取り込まれる。植物体内への取り込みに関するキレート剤の影響は、メチルヒ素種よりも無機ヒ素種の方が大きい。
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Research Products
(6 results)