2009 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒ナノ粒子中でキャリアの動きを決める要因は何か
Project/Area Number |
08F08346
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岩田 耕一 Gakushuin University, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Tao 学習院大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 光触媒 / ナノ粒子 / フェムト秒 / 近赤外分光法 / 酸化チタン / キャリア動力学 / 結晶形 / 相乗効果 |
Research Abstract |
半導体ナノ粒子中に生成した電子の多くは波長0.9から1.5マイクロメートルの近赤外領域に特徴的な吸収帯を示す.本研究では,光照射によって生成した電子のその後の挙動を,研究代表者らが開発したフェムト秒時間分解マルチチャンネル近赤外分光計を利用して追跡した.平成21年4月に研究代表者が東京大学から学習院大学に異動したために,フェムト秒時間分解マルチチャンネル近赤外分光計を学習院大学に移設するとともに,本補助金で新たに電気炉を購入するなどして,本研究に必要となる実験環境を学習院大学において早急に整備した.酸化チタン光触媒では,触媒粒子中にアナタース型結晶の部位とルチル型結晶の部位が混在していると両者の相乗効果によって単独の結晶よりも高い触媒活性を示すことが知られている.今年度はこの相乗効果の原因について検討した.アナタース型結晶とルチル型結晶の組成比が異なる4種類の酸化チタン光触媒試料を調整し,それぞれの試料の構造をX線回折によって決定した.また,それぞれの触媒の活性を光照射時におけるメチレンブルーの分解・退色によって評価した。これらの試料のフェムト秒時間分解近赤外スペクトルを測定して電子の動力学を観測することによって,光照射直後にルチル型結晶部位からアナタース型結晶部位への高速電子移動がおよそ100フェムト秒の時定数で起こっていることを見出した.さらに,ルチル型結晶の光照射時に,誘導放出に起因する思われる負の吸収信号が近赤外領域で観測されることを見出した.
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