2010 Fiscal Year Annual Research Report
天文学的に興味ある化学反応中間体のミリ波・赤外分光
Project/Area Number |
08F08349
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川口 建太郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VARADWAJ P.R. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ミリ波共振器 / 星間分子 / マイクロ波分光 / 赤外フーリエ変換分光 / 振動回転スペクトル |
Research Abstract |
本研究ではミリ波領域における高感度化を目指して共振器型分光器の開発を行った。昨年度製作した共振器は全体的に不安定な所があったので、本年度新たに一体型の共振器を製作した。また移動鏡の制御を微細な調整が可能なPZTステージを用いることにした。ミリ波の発生源は現有の装置を用い、光源からの電波をビームスプリッターを通して新たに製作した共振器に導入した。検出系の感度は電波が共振器の中を何回往復するかによって決まるが、その尺度であるフィネスは273が得られた。実際に観測されたスペクトル強度は単一光路に比べ約50倍長い実効光路長に対応していた。光路長を増すことはラジカルやイオン種のように局所的にしか生成できない分子種の分光にとっては本質的に重要である。メタノール分子の吸収でテストした結果、飽和の現象が観測され、ミリ波の出力を適度にすることが必要であった。このことにより、本装置は遷移モーメントが小さな分子の分光に適していることが分かった。赤外領域では、昨年度マイクロ波放電法により生成した星間分子として知られている環状-C3H2分子のnu6バンドの気相スペクトルを初めて測定できた。今年度は理論計算により赤外強度を見積もり、実測値と比較検討した。その結果、MP2, QCISD, CCSD法ではnu3とnu6振動の強度比が実験値に近い値を再現したが、DFTでは一致が悪かった。一方振動ではDFT法のPBEPBEとPW91PW91の調和振動数が実測値に4cm-1内で一致していた。この内容を論文として仕上げて、投稿しているところである。
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Research Products
(2 results)