2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子触媒による14族有機金属化合物の高効率ワンポット合成の開発
Project/Area Number |
08F08354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 寛 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALDES Lesbani 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 14族元素 / パラジウム / アリール化 |
Research Abstract |
14族有機金属化合物(ケイ素、ゲルマニウム、スズ)は合成中間体や医薬品・機能性材料のビルディングブロックとして有用な化合物群である。これらは通常、有機リチウム試薬、Grignard試剤などに代表される1族または2族有機金属反応剤により合成される。しかしながらこの手法では水酸基、アミノ基、シアノ基など反応活性な官能基が存在していると目的とする反応が全く進行しない。 本研究ではこの欠点を打破するため、触媒を用いて14族水素化物を原料とした新規カップリング反応を検討した。具体的には1級の14族水素化物とハロゲン化アリール間のカップリング反応の開発を行った。触媒としてはtert-ブチルボスフィンで構造修飾した0価のパラジウム錯体を用い、塩基としてジイソプロピルエチルアミン、溶媒としてテトラヒドロフランを使用した時に最も良い結果を与え、室温において収率40~80%程度で様々なアリール化体を合成できた。加えて冒頭で挙げた官能基制限性の欠点も本反応には見られなかった。本反応の特徴は段階的に反応が進行する点にあり、反応基質であるハロゲン化アリールの量を変化させることで2級、3級そして4級の対応するアリール化体を単離することもできた。 また、様々なパラジウム錯体を単離し、反応メカニズムに対する考察を行った。ヒドロシランのアリール化はケイ素-水素結合に対するパラジウムの酸化的付加、続いてハロゲン化アリールのシグマボンドメタセシスを経由し、塩基による脱プロトン化により進行している事を明らかにした。
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