2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による炭素-水素結合の新規変換反応の開発
Project/Area Number |
08F08359
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 正毅 京都大学, 工学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANG Shi 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | C-H結合活性化 / カップリング / 遷移金属 / 銅 / ニッケル |
Research Abstract |
多くの有機分子は,その表面を炭素-水素結合(以下,C-H結合と表記)によって覆われている.そのためこれを活性化して直接変換する反応は,分子を事前に官能基化する必要がないため原子効率にきわめて優れており,有機合成反応として理想的である.そのような観点から,C-H結合の直接変換反応の開発は,近年世界中で最も活発に研究されている研究領域の1つであり,不飽和化合物への付加反応や有機ハロゲン化物や有機金属反応剤とのカップリング反応などが相次いで報告されている.しかしながら,それらのほとんどがルテニウム,ロジウム,パラジウム触媒など高価な貴金属触媒を用いるもので,反応性の低いC-H結合を活性化するために100℃以上の比較的過酷な反応条件を必要とする.そのような背景から本研究では,これまでC-H結合の活性化にほとんど用いられていなかった安価な金属触媒を用いたC-H結合の直接変換反応の開発を行っている.芳香族C-H結合と有機ケイ素反応剤のカップリング反応を目指して,平成20年度より継続して適切な有機ケイ素反応剤の分子設計を行なってきた.その結果,アリール[2-(2-ヒドロキ-2-プロピル)シクロヘキシル]ジメチルシランのニッケルへの金属交換がきわめて円滑に進行して,塩化アリールやアリールスルホン酸エステルとの交差カップリング反応が進行して,ビアリールが収率よく得られることを見つけ,平成21年度に反応条件を最適化した.平成22年度は,本反応をいろいろな置換基を有するアリールシラン反応剤と塩化アリールおよびアリールスルホン酸エステルに応用して,安価なニッケル触媒を有機ケイ素化合物を用いるビアリール合成法を確立した.安価な塩化ニッケル錯体とフェノールから簡単に得られる求電子剤を用いる本手法は,ケイ素の残渣も定量的に回収できるので,きわめて実用的なビアリール合成法であることを明らかにした.
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Research Products
(1 results)