2009 Fiscal Year Annual Research Report
モリブデンおよび銅からなる集積型一酸化炭素酸化酵素機能モデルに関する研究
Project/Area Number |
08F08360
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 和志 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAL Kuntal 大阪大学, 基礎工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 金属クラスター / モリブデン錯体 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
一酸化炭素を二酸化炭素に酸化する金属酵素にはモリブデンと銅という異なる金属が働く反応場が存在している。本研究ではモリブデンからなる2核コアに他の金属への配位部位を導入したモリブデン含有メタロリガンドを合成し、さらにそこへ銅をはじめとする第一遷移周期の金属を導入することで異種金属を含有する反応場の構築を行う。具体的には、異種金属への配位が可能な3座配位子として、配位元素に酸素・窒素・リンを有するモノアニオン性配位子であるpyphos配位子を用いてモリブデン2核錯体の合成を行い、残るリン部位を他の元素(銅など)への配位に用いる。こうして得られる異種金属含有錯体は中心のモリブデン2核コア部位に多くの電子が存在するため、触媒反応をする際の活性中心となる銅の電子的環境を非常に柔軟にコントロールすることが可能であり、異種金属間の電子的複合効果を利用したこれまでにない新しい触媒系を構築することができる。現在のところ、モリブデン2核、銅2核からなる異種金属錯体の合成に成功しており、触媒反応への利用を検討し始めているところである。また、反応中心である銅の電子的柔軟性を増す目的で、酸化還元活性な配位子と銅イオンとを組み合わせた錯体の合成を行っており、実際に一酸化炭素雰囲気にさらすことで銅に一酸化炭素が配位したと考えられる錯体を確認し、さらに酸化剤との反応に研究を展開しているところである。このように、金属酵素の活性部位に複数の金属が、また、反応を行う上で異なる金属が働いている点に注目し、温和な条件下における一酸化炭素酸化触媒の合成に取り組んでいる。
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