2010 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンの精密配位・メタセシス重合のための高性能バナジウム錯体触媒の設計・創製
Project/Area Number |
08F08361
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科・都市教養学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 樹 首都大学東京, 外国人特別研究員
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Keywords | バナジウム / オレフィンメタセシス / アルキリデン錯体 / 配位・挿入反応 / アルキル錯体 / 配位子効果 / オレフィン重合 / 触媒設計 |
Research Abstract |
本課題は、従来触媒で達成できないオレフィンの精密重合を可能とする、高性能バナジウム錯体触媒の設計・合成に関する。特に今迄の成果を基盤に、イミド配位子及びアニオン性配位子を有するバナジウム5価錯体に注目し、オレフィンの配位重合やメタセシス反応に有効な高性能分子触媒の創製を目的としている。特に触媒活性種のアルキルカチオンやアルキリデン錯体の合成・同定・構造決定や関連する有機金属錯体の合成や反応性に関する基礎的知見の確立を通じて、より高性能触媒を創製しようと考えている。平成22年度の主な成果は以下の通りである。 イミド及びアニリドメチルピリジン配位子を有するバナジウムジクロロ錯体は、使用するイミド配位子上の置換基の嵩高さにより、エチレンの重合または二量化に高活性を発現した。特に二量化に高活性・高選択性を示したアダマンチルイミド配位錯体では、ハロゲン化有機アルミニウム助触媒の存在下では重合が進行することから、反応の選択性への対アニオンの効果が強く示唆された。 アリールイミド及びイミダゾリン-2-イミナト配位子を有するジアルキル錯体は、ヘキサン溶媒中での加熱ではアルキリデン錯体を与えるが、ベンゼン溶媒中では溶媒の炭素-水素結合を活性化し、フェニル錯体与えた。機構解析や関連錯体の合成結果を基に、フェニル錯体はアルキリデン錯体とベンゼンとの反応により生成することを明らかにした。さらに加熱を続けることで、ベンザイン錯体の合成・同定・構造決定に成功した(Organometallics誌の表紙に採択)。
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Research Products
(7 results)