2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属表面におけるナノ電子物性と触媒反応に関する理論的研究
Project/Area Number |
08F08362
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALEKSANDAR Staykov 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ジアリールエテン / 光応答性分子 / 分子スイッチ / 量子輸送現象 / 分子軌道 / 理論化学 / 量子化学 |
Research Abstract |
ジアリールエテンは代表的なフォトクロミック分子であり、そのコンダクタンスは光異性化に伴って大きく変化するため、様々な分子デバイスへの応用が期待されている。我々はジアリールエテンの開環体と閉環体のそれぞれについてコンダクタンスを非平衡グリーン関数法により理論的に求めた。最近、フロンティア軌道の位相と振幅から単一分子の電子輸送物性を定性的に予測する規則を我々は提案している。効果的な電子輸送を実現するためには以下の二つの条件を満足する必要がある。(1)HOMOとLUMOの振幅が大きい原子を電極に接続しなければならない、(2)電極に接続される2原子上の分子軌道係数の積の符号がHOMOとLUMOで異なっていなければならない。この規則をジアリールエテンのヒュッケル分子軌道に適用すると、閉環体の方が開環体よりも伝導性が高いと予測される。また、密度汎関数法による定量的な計算においても同様の結果を得た。本研究により、ジアリールエテンにおいて、ヒュッケル法に基づいた定性的な予測と密度汎関数法に基づいた定量的な計算結果が一致することが示された。フロンティア軌道からジアリールエテンの電子輸送物性の予測ができることは分子デバイスの設計にお生成が高効率で起こることが分かった。これらの結果は反応過程の活性化エネルギーの計算から得られたものである。これらの結果は、Journal of Physical Chemistry C、Thin Solid Filmsに公表した。
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