2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉治療のためのがん標的ホウ素ポルフィリンの開発
Project/Area Number |
08F08363
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EI-ZARIA M.E. 学習院大学, 外国人特別研究員
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Keywords | 中性子補足治療 / 光線力学療法 / ホウ素 / ポルフィリン |
Research Abstract |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は脳腫瘍および皮膚がんの治療に用いられてきたが、最近頭頸がんの治療にも成功しその応用範囲の拡大が注目されている。現在わが国では、小型加速器の開発が進んでおり、これまでの原子炉依存型から病院併設型BNCTの実現が近い将来可能となってきている。本研究では、ポルフィリンの腫瘍親和性と光感受性に着目し、ポルフィリンにホウ素イオンクラスターを導入したホウ素キャリアーを新たに開発し、BNCTと光線力学療法(PDT)の組み合わせによる本治療法の適応拡大を目的とした。21年度に開発に成功したホウ素イオンクラスター含有ポルフィリンのヒト子宮がん細胞HeLaに対する毒性をMTT法で調べた結果、本研究で合成した化合物が既知のカルボラン含有ポルフィリンBOPPより低毒性を示した。細胞内へのホウ素取り込みはBOPPに比べて約5倍亢進した。さらに、HeLa細胞において光線力学的治療効果を解析した結果、IC_<50>=0.21μMとBOPP(IC_<50>=4.83μM)より23倍強い活性を示した。これらの結果から、化合物11は低毒性で高い細胞内取り込み活性及び光線力学治療効果を有することが明らかになり、BNCTとPDTのコンビネーションセラピーに有用である可能性が示唆された。さらに、アセチレン部位を有するホウ素イオンクラスターと様々な有機アジドの銅触媒を用いるクリック付加環化反応に成功した。この手法により、様々なホウ素イオンクラスター有機化合物の合成が容易に行えることができた。例えば、細胞膜を形成するリン脂質を模倣したホウ素脂質の開発にも成功した。
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Research Products
(7 results)