2010 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率絶縁膜界面に存在する電気的双極子層の検出とその起源に関する研究
Project/Area Number |
08F08383
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥海 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHU Liqiag 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ダイポール / XPS / 高誘電率膜 / しきい値 / 結合エネルギー |
Research Abstract |
先端CMOSにおいて必須の技術である高誘電率ゲート絶縁膜技術には、いまだ多くの課題があるが、その中でももっとも大きい材料学的な課題は、高誘電率絶縁膜とSiO2との界面に形成される電気的双極子層(ダイポール)の形成をあげることができる。この現象は数年前に当研究室において発見、提案されたものであるが、そこではMOSキャパシタを用いた電気的な評価に基づいて推測されたものであり、なんとか物理評価によって直接検出できないかを試みてきた。 そのような経緯の中で、本研究においては、このダイポール層をX線光電子分光法(XPS)を用いて検出しようというものである。その際に、我々はダイポール層が形成される事によって、Si基板上のSiO2の電子構造が絶縁膜界面において変調されるはずであることに着目し、ダイポールの有無によるSiO2のSi-2p信号の変化を丹念に調べた。Si基板からの信号も同時に観測できるので、Si基板、SiO2におけるSi-2pの相対的変化を正確に追うことができる。ただし、この変化に対してはダイポール以外の寄与もあるので、膜厚依存性などを丹念に調べる必要があり、また高誘電率膜厚材料によってダイポールの向きが変わることなどを注意深く取り扱うことが必要になってくる。その結果として、XPSを用いて界面ダイポールを明瞭に観測することができるに至った。 原理的には、いかなる界面においてもダイポール層の出現はあり得るが、今回の結果は絶縁膜/絶縁膜の界面においてもダイポール層が形成されることを直接検出し、しかもそれがMOSFETのしきい値というトランジスタの中心パラメータを決めるという、材料科学的、デバイス技術的な両方の観点から極めて重要な成果と言えると考えている。
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Research Products
(3 results)