2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 進 Kyoto University, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SONG Bongshik 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フォトニック結晶 / SiC / 可視光 / 共振器 / 導波路 |
Research Abstract |
フォトニック結晶は自在な光制御の可能性を秘めている光ナノ構造として世界的に関心を集めている。特にSiやGaAsを用いたフォトニック結晶の研究が最近盛んに行われている。一方、SiやGaAsは可視領域においては透明でないため、可視域を対象としたデバイスの応用は不可能である。ここで我々は、フォトニック結晶の材料としてワイドバンドキャップ材料であるSiCという材料に新たに着目した。SiCは赤外光のみならず可視光に対しても透明であるため、可視光に対する新たな展開が期待できる。例えば可視光SiCフォトニック結晶導波路や共振器を始めてとして、色素やコロイド量子の可視発光体との融合、単一原子との強結合、バイオセンシングなどの様々な展開が可能である。しかしながら、このような新規の材料を用いたフォトニック結晶の研究の前例は全くなくSiCフォトニック結晶構造の設計や作製技術の検討から始めなければならない。本研究ではこれまで赤外波長領域におけるSiCフォトニック結晶の設計や微細加工技術を活かして、可視光領域SiCフォトニック結晶の開発に取り組んだ。まず、可視光領域におけるSiCフォトニック結晶導波路(透過帯域:40nm以上)や光ナノ共振器(Q値:1,000以上)を設計した。また、可視光フォトニック結晶を実現するためには空気孔の直径を100nm以下にするなど、極めて微細な加工技術が必要である。プラズマエッチングガスの組成比や金属マスク厚みなどの最適化を行い、直径約90nmという極めて小さな空気孔をもつSiCフォトニック結晶の作製に成功した。作製したSiCフォトニック結晶共振器の光学特性を調べたところ、共振波長は約550nm、Q値は約600の結果が得られた。この結果は可視光領域SiCフォトニック結晶共振器の動作を世界で初めて示したものであり、その意義は極めて大きい。今後、さらなる可視光領域の応用や発展が期待できる。
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