Research Abstract |
今年度は,フィールド調査を実施し,東西回廊のメンバー国の政府関係者,タイ,ラオス,ベトナムの民間セクター,非営利組織,開発関係者の代表者からの情報を集約した,2009年9月9日から6日には,ラオスの公共事業交通省とタイの交通省でインタビューを行った.また,メコン川流域委員会においては,越境交通プロジェクトに関わる関係主体の関心事項を調査した.さらに,組織のキャパシティーデベロップメントや越境交通の手続き簡素化,交通費用削減に関する政府文書やアジア開発銀行の報告書等の収集も行った. 2009年9月16~18日にカンボジアにおいて開催された大メコン川流域経済回廊フォーラムにも参加した.そこから,異なる利害関係者や組織間でその機能をうまく調整できるのかという実行可能性について疑問があることを明らかにした.このフォーラムは,公的セクターと民間セクターとの関係を構築し,潜在的な利害関係者間の協調を実現しようとするものであるが,実際には,交易および交通の簡素化という観点から,特に最新のアジア開発銀行のレポートが中心的に議論されていることも明らかとなった,ちなみに,このレポートは,越境交通インフラプロジェクトを通じた輸送回廊から経済回廊への転換を,官民パートナーシップと結びつけようとする試みである,また,アジア開発銀行の地域統合センターは,国レベル,大メコン川流域レベルにおける制度的な開発を重視している点も注目に値する.さらに,研究機関や大学が,大メコン川流域開発のために,GMSARNと呼ばれる研究者ネットワークを構築していることも明らかとなった.これは,流域各国の越境交流を促進させるために,各地域の研究者が,その役割と機能を増進させることを狙いとするものである. なお,以上の成果については,2009年11月25~27日にベトナムで開催されたGMSARN国際会議において発表を行った.
|