2008 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス様細胞死においてレドックス制御されるヌクレアーゼの単離・同定
Project/Area Number |
08F08413
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡辺 正巳 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TEWARI Rajesh Kumar 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アポトーシス / プログラム細胞死 / レドックス制御 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
植物細胞は、分化全能性があり単細胞から植物体を再生できる。ところが、単細胞として細胞を単離すると全能性を失い、アポトーシス様プログラム細胞死に至る。本研究は、単細胞(プロトプラスト)を単離する段階で、葉緑体に活性酸素が蓄積していく原因を解明した。プロトプラストを単離すると、最初に、葉緑体に活性酸素が蓄積した。その後、細胞培養すると、活性酸素は細胞質に拡散し、培養後2日目に最大となり、その後、細胞の崩壊と共に減少した。 活性酸素の消去に関与するアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)とスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)活性を葉緑体と細胞質に分けて、測定した。その結果、APXの酵素活性は、葉緑体で増加していたにもかかわらず、細胞質型の酵素活性が減少した。SODの酵素活性は、葉緑体で減少したが、細胞質型の酵素活性は増加した。プロトプラストにおけるこれらの酵素活性は、いずれも減少した。NADPHオキシダーゼの活性は、プロトプラストの葉緑体で減少していた。以上の結果から、プロトプラスト単離時に、葉緑体で活性酸素が蓄積する原因は、葉緑体型NADPHオキシダーゼが活性化するため、APXおよびSODが活性化するにもかかわらず、トータルの活性が減少しているため消去できず、葉緑体内で活性酸素が蓄積してくると考えられる。葉緑体に起こったレドックス状態の変化が、その後の培養時における細胞死のシグナルになって、プログラム細胞死の実行過程につながっていく。これまで、植物細胞のプログラム細胞死のシグナル伝達では、動物細胞と同様にミトコンドリアに最初に、レドックス状態の変化が起こり、細胞死に至ると報告されていた。本研究は、葉緑体に起こるレドックス状態の変化がプログラム細胞死のシグナルと成り得ることを世界で初めて示した研究である。
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