2008 Fiscal Year Annual Research Report
寄生性ヤツメウナギは2つの独立したレニン・アンジオテンシン系をもつ
Project/Area Number |
08F08415
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 祥郎 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WONG Marty K.S. 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アンジオテンシンノゲン / 寄生 / 宿主 / 吸血 / 遺伝子移入 / 免疫寛容 / 円口類 / 消化管 |
Research Abstract |
本年度は、ヤツメウナギのゲノム中に発見したアンジオテンシンノゲン遺伝子から予測されるアンジオテンシンの配列を合成し、その抗体を作成した。また、ヤツメウナギの血漿を集め、そこにゲノムで見つけたアンジオテンシン以外の宿主(真骨魚類)のアンジオテンシンが存在するか否かを、高速液体クロマトグラフィーとラジオイムノアッセイを組み合わせて調べたところ、わずかではあるが存在することがわかった。すなわち、ヤツメウナギは自分自身のアンジオテンシンだけではなく、宿主のホルモンも利用していることが明らかになった。今後は、ヤツメウナギの血液中を循環する真骨魚類のアンジオテンシンが、宿主の血液中にあるアンギオテンシノゲンを消化管で吸収して血液中で生成したのか、あるいは真骨類のアンジオテンシン遺伝子を自身のゲノム中に取り込んだのかを明らかにする。さらに、合成したヤツメウナギアンジオテンシンと真骨類アンジオテンシンの生理活性をヤツメウナギで比較して、どちらのホルモンがより血圧調節に重要であるかを調べている。わが国では宿主に寄生しているヤツメウナギを手に入れることが困難なので、ニューハンプシャー大学のStacia Sower博士と共同研究を行い、五大湖に生息するウミヤツメ(Petromyzon marinus)を異なるアンジオテンシン配列をもつ2種の真骨類(ヒラメとニジマス)に寄生させ、異なるアンジオテンシンが生成されるかを調べる予定である。この実験により、宿主の遺伝子を利用しているのかタンパク質を利用しているのかがわかる。
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Research Products
(2 results)