2009 Fiscal Year Annual Research Report
寄生性ヤツメウナギは2つの独立したレニン・アンジオテンシン系をもつ
Project/Area Number |
08F08415
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 祥郎 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WONG Marty K.S. 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アンジオテンシンノゲン / 寄生 / 宿主 / 吸血 / 遺伝子移入 / 免疫寛容 / 円口類 / 消化管 |
Research Abstract |
私どもは、ヤツメウナギの血液中から真骨魚と同じアミノ酸配列をもつアンジオテンシンを単離・精製したが、ヤツメウナギのゲノム中に異なる配列をもつアンジオテンシンの遺伝子を発見した。そこで、ヤツメウナギは宿主である真骨類の血液中からアンジオテンシンノゲンとそこからアンジオテンシンを切り取る酵素であるレニンを吸収して血液中でアンジオテンシンを生成するという仮説を立て、次の実験を行った。 1)我国では寄生をしているヤツメウナギを手に入れることが難しいので、五大湖の寄生性ウミヤツメ(Petromyzon marinus)を利用するため、New Hampshre大学のStacia Sower博士の研究室に行き実験を行った。すなわち、異なるアンジオテンシン配列をもつ2種の真骨類(ヒラメとニジマス)に寄生させ、異なるアンジオテンシンがヤツメウナギの血液中で生成されるかを調べた。しかし、実験室ではストレスのため吸血させることが難しく、また動物愛護法のため強制的に血液を消化管に注入することが許されなかったため、実験は成功しなかった。 2)ヤツメウナギのアンジオテンシンを合成してその抗体を作成し、ヤツメウナギの血漿中にそれが存在することを高速液体クロマトグラフィーとラジオイムノアッセイを組み合わせて確認した。 3)ヤツメウナギの血管にカニューレを挿入して、真骨類とヤツメウナギのアンジオテンシンの血圧作用を比較した。その結果、真骨類アンジオテンシンの昇圧作用は極めて弱く、血圧調節に生理的に関与しているというよりも、寄生動物がもつ免疫寛容作用のために利用していると予想された。いっぽう、ヤツメウナギのアンジオテンシンは、強力に血圧を下げる作用を持つことがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
Takei, Y., Ogoshi, M., Wong, M., Nobata, S.
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Journal Title
The Calcitonin Gene-Related Peptide Family : Form, Function and Future Perspectives(Springer Verlag)
Pages: 1-21(236)
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