2011 Fiscal Year Annual Research Report
アシナガバチ属旧世界固有亜属Polistellaにおける種レベルの系統関係解析
Project/Area Number |
08F08416
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小島 純一 茨城大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN L.T. 茨城大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 系統関係 / アシナガバチ属 / 生物地理 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究の目的は、旧世界に広く分布し、造巣習性や社会構造・行動という社会性進化に関わる点で多様であることが知られるアシナガバチ属(Polistes)Polistella亜属について種間の系統関係を明らかにし、単系統性に基づいて種群を定義することである。これにより、アシナガバチ属における社会性進化ならびに生物地理を論じる際の参照体系を確立する。 平成23年度は、平成22年度までに作成してきた種×形質データマトリックスを完成させ、最節約法により種レベルでの系統解析を行った。分子データが得られた種が限られていたため、まず形態ならびに巣構造という表形形質のみを用いて系統解析を行った。その結果、未記載種も含めて約20種からなる単系統群としてPolistes manarinus種群が認められた。分子データを用いた解析においても、この種群の単系統性は支持される結果が得られた。 Polistes manarinus種群は、植物や哺乳類でこれまでに報告されているヒマラヤ回廊起源の分布様式を示し、その種分化の中心がンドシナ半島北部のヒマラヤ山脈東斜面と台湾であることが示された。本研究を実施する中で、ベトナム北部山地域のアシナガバチ属相を解明し、またこれまでに台湾から記載もしくは報告されてきたアシナガバチ類の実体を特定し、東アジアのアシナガバチ属の分類学的、系統学的、ならびに生物地理学的研究を行う上での確固たる基礎の確立に大きく貢献した。
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Research Products
(3 results)