2008 Fiscal Year Annual Research Report
広翅目昆虫類の分子系統学的研究:その交尾器と性的二型の進化パターン
Project/Area Number |
08F08417
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 幸正 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Xingyue 首都大学東京, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 分類 / 系統樹 / 進化 / 性的二型 / アジア / 多様性 |
Research Abstract |
多くの昆虫類において,DNAに基づく系統分類学的研究が行われている.しかし,ヘビトンボ類,センブリ類から構成される広翅目昆虫類に対してはこれまでにそうした分子系統樹の作成が全く行われていなかった.そこで,日本産全種,中国産の多くの種,さらに東南アジアから得られた標本からDNAを抽出し,ミトコンドリアDNA(16S rRNAとCOIの2領域)の塩基配列を解析して系統樹の作成を行った.結果はまだ予備的なものであるが,同属内のいくつかの種間関係はこれまでの形態学的系統分類を支持するもであった.しかし,広翅目全体の系統関係を明らかにするためには,さらに変異の少ない核DNA(18S rRNAあるいは18S rRNA)の解読が必要である.これと同時に交尾器などの外部形態に基づく分類学的再整理も行い,ヨーロッパのベルリン,ライデン,パリにある博物館を訪れ,そこに所蔵されているタイプ標本や未同定標本を詳細に検討してきた.これによりさらに未記載種が発見されるなど分類学的に新しい知見を多く得た.さらに広翅目の外群であるラクダムシ目の昆虫類についても日本産と中国産を合わせて分類学的再検討を行った結果,中国産の多くの未記載種が見いだされた.
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