2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08419
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN M.D. 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 回転分子モーター / F_1-ATPase / SDS / 界面活性剤 / ATP加水分解 / トルク |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、回転分子モーターF1-ATPaseの回転子を縦に半身に削ぐ実験を行った。このモーターは、3組のαおよびβサブユニットが筒状に並んで固定子を構成し、中央にγサブユニットが片側から突き刺さって回転子となる。3つのβで順にATPが加水分解されるに伴い、γが回転する。γの固定子内に突き刺さる部分は、カルボキシル(C-)末端およびアミノ(N-)末端のαヘリクスが反平行のコイルドコイル構造をとったものである。このうちN-末ヘリクスを端から遺伝子的に削った。削除によりモーター分子全体が不安定になるのを防ぐため、γのC-末端のほうは、ペプチドリンカーによりβにつないでおいた(昨年度報告したようにリンカーは回転にほとんど影響を与えない)。 N-末ヘリクスは49残基よりなるが、これをN-末から順に8, 14, 28, 40, 50残基の所まで削除した。結晶構造によると、28残基削除したところで固定子との相互作用はなくなる。これらにつきまず無負荷回転速度を40nm金粒子をプローブに用いて計測したところ、野性型の毎秒200回転からだんだん速度が落ち、28残基ないしそれ以上を削除すると約50回転で一定となった。一方、0.29μmのビーズをプローブとしてトルク(回転力)を見積もったところ、野性型の約40pN・nmに対し28残基以上を削除しても半分にしかならなかった。半身に削いだ回転子でも、半分のトルクは生み出せることになる。従来の結果と合わせると、回転子が固定子に入り込む部分ないし回転子の先端(この2箇所で固定子と相互作用)のどちらかさえ残っていれば、半分のトルクが出る。F1の同転子には、これがなければ、という重要部品はないようである。これらの結果は、現在投稿中である。
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Research Products
(2 results)