2010 Fiscal Year Annual Research Report
花器の左右相称性と花粉形質によるアルストロメリア科植物の新たな育種素材の探索
Project/Area Number |
08F08424
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒木 肇 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SARWAR A.K.M. Golam 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 外国人特別研究員
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Keywords | アルストロメリア / 花粉表面模様 / 電子顕微鏡 / 花器形態(左右相称性) / 類縁関係 |
Research Abstract |
近年、アルストロメリア属を中心に種間雑種の品種が多数育成されているが、効率的な育種プログラムを遂行には正確な植物分類と類縁関係の把握が必要である。従来の形態的特徴や染色体の核型に、花粉特性を加えて評価することは植物分類上有効である。日本・アメリカおよびペルーの植物標本館より花粉材料を採取し、温室花粉も加えて電子顕微鏡観察をおこなった。 アルストロメリア属の花粉は単孔溝と花粉外壁の表面模様によって特徴づけられる。単孔溝はどの花粉にも存在したが、表面模様は平行から網目模様のタイプ(striato-reticulate)と模様が判然としないタイプ(regulate-psilate)に分別された。また表面模様中のうね幅にも種間差異があった。(Sarwar, A.K.M. Golam, Hoshino, Y. and Araki, H. 2010. Pollen morphology and infrageneric classification of Alstroemeria L. (Alstroemeriaceae). Grana 49(4): 227-242. アルストロメリア属植物はブラジル型とチリ型に大別されると言われているが、花粉を利用した分析では、このような知見は支持されなかった。花粉形状や表面模様に関する主成分分析ではブラジル型は近似して分布したが、クラスター分析では、ブラジル型のクラスターにチリ型存在し、ブラジル型とチリ型の分類には改善する点が指摘された。 近年はボマレア属をさらにBaccata, Bomarea, SpbaerineおよびWichuraea亜族に分類する研究報告もあるが、これについても花粉の形状や特性分析では支持されなかった。アルストロメリア科植物の類縁関係の解析には形態や花粉特性の知見と分子生物学的なデータとをあわせて検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)