2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハイスループットRNAi法によるイネいもち病菌のゲノム機能解析
Project/Area Number |
08F08426
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中屋敷 均 Kobe University, 農学研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN Quoc Bao 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | RNAサイレンシング / RNAi / イネいもち病菌 / ポストゲノム / 病原性遺伝子 |
Research Abstract |
当研究室で構築されたハイスループットRNAiベクターpSilent-Duall(pSD1)を用いて、対象遺伝子のRNAiコンストラクトの構築とそれによるノックダウンいもち病菌株の作製を中心に行った。これまでに約30のクロマチンリモデリングに関与する遺伝子のサイレンシングコンストラクトを作成し、そのノックダウン株の選抜を試みたが、その多くで充分な遺伝子発現の抑制が認められない結果となっている。この原因は不明であるが、僅かな遺伝子発現の低下が致死にいたる、あるいは他の生物で報告されているように糸状菌にもRNAi耐性の遺伝子が存在する等の可能性が考えられる。そこで現状の計画に加え、新たに植物細胞壁分解酵素をその対象に加えて、同様の手法で、解析を試みている。その結果、キシロースを基質とするキシラナーゼやセルロースを基質とするセルラーゼなどのノックダウン株で、対象遺伝子の発現、酵素活性の有意な低下が観察され、また明瞭な病原性の低下が認められた。これらのノックダウン変異体の感染過程を細胞学的に観察した所、植物細胞への侵入率の低下に加え、侵入後の未感染細胞への伸展程度の両方に欠損があることが明らかとなった。一般に細胞壁分解酵素は、ゲノム上に数個~20個程度、ホモログが存在しており、その機能的な冗長性から、これまで病原性への関与が示唆されていたものの、その遺伝学的な証拠が得られていなかった。今回の知見は、植物病原糸状菌の細胞壁分解酵素が、実際に侵略力、病原力の両方に関わっていることを示せた点で意義深いと考えている。
|