2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスや金属毒性等に耐性や誘導性を示す野生植物の遺伝子群の解析と応用
Project/Area Number |
08F08428
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江崎 文一 Okayama University, 資源生物科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOTTAPALLI J. 資源生物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 野生植物 / 酸化ストレス / 重金属ストレス / NO生成 / 耐性機構 / メリケンカルカヤ / Alストレス / 重金属排出機構 |
Research Abstract |
メリケンカルカヤは、Alストレス、重金属ストレス、酸化ストレス等に広く耐性を示す野生植物である。その耐性機構を解明し、他の植物に応用できれば問題土壌への作付けが可能となり農業上、大変有益である。このような観点から野生植物を用いて、Kottapalli博士と共同研究を進めた。 1)メリケンカルカヤでのAlストレスでの耐性機構 まずAlストレス処理したメリケンカルカヤの根と地上部の中のAl含有量を測定した。その結果、土壌から吸収した毒性Alを根に過剰蓄積しないように地上部へ輸送することが耐性となる要因の1つであることが示された。また、地上部に輸送されたAlは、葉の表面のトライコームに集積しやすいことも明らかにし、葉の表面から外界へ排出される可能性を示唆した。 また、メリケンカルカヤなど5種類の野生植物を用いてAl、Zn、Cr金属ストレスにおける根から地上部への毒性金属の輸送についての比較実験にも博士は参加した。その結果、メリケンカルカヤでのみ、高い地上部へのAl輸送活性が見られた。 2)メリケンカルカヤでのストレス特異的なNO(nitric oxide)の生成について Alを含めた金属ストレスや温度ストレス下にある植物はNOを生成するが、これが毒性機構の現われなのか、耐性機構の1種なのかは不明である。まずKottapalli博士はNO特異的な蛍光指示薬であるDAF-FMを用いて、メリケンカルカヤの根でもNOが発生することを確認した。ところで、Alストレスは2次的に酸化ストレスを誘引する。そこでNOの発生阻害剤で予め処理した後にAl処理し、酸化ストレスの発生状況を検討した。その結果、Al処理したにも関わらずNOの発生や酸化ストレスの生成が抑制された。これらは、Alストレス、NOの生成、酸化ストレスの2次的発生の間の強い関連性を示している。我々はNOの生成が毒性機構の現われであると同時に、抗酸化作用を引き起こすことにも役立っていると考えており、毒性機構から耐性機構へ繋がる重要な現象と考えた。
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Research Products
(8 results)