2009 Fiscal Year Annual Research Report
銅鉱山性荒廃地における菌根菌の群集構造と機能に関する研究
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08F08432
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
練 春蘭 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Yahua 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 銅鉱山性荒廃地 / 菌根菌 / 共生系 / 重金属汚染 / 光合成 / 菌根菌群集構造 |
Research Abstract |
1.銅鉱山性荒廃地に生育する樹木と共生する菌根菌の群集構造を明らかにするため、新たに中国安徽省の銅陵市銅鉱山性荒廃地において馬尾松から菌根を分離した。現在、サンプリングした菌根菌をDNA解析し、種を同定している。 2.樹木の重金属ストレスの生報的メカニズムと共生する菌根菌の影響を明らかにするため、菌根菌感染と未感染のアカマツ苗の成長に対する銅ストレスの影響を調べた。菌根菌は2種(Pisolithus spp(Ps), Cenococcum geophilum(Cg))、銅の処理は5レベル(0、375、750、1500、3000mg Cu/kg soil)を用いた。対照処報(0mg Cu/kg soil)では、菌根菌の感染は顕著にアカマツ苗の成長と光合成速度を促進した。銅の処理については、(1)菌根菌未感染:375~1500mg Cu/kg soilの処理では、対照処理と遜色ない成長と光合成速度を示した。3000mg Cu/kg soilの処理では、成長と光合成速度ともに減少した(対照を100%としたとき、成長と光合成速度がそれぞれ80%と23。4%);(2)Ps感染:低濃度(375、750mg Cu/kg soil)では、成長と光合成速度に減少が見られなかったが、高濃度(1500、3000mg Cu/kg soil)では、顕著な減少が見られた(成長:86%、63%;光合成速度:2.6%、1.4%);(3)Cg感染:低濃度(375、750mg Cu/kg soil)では、成長に減少が見られなかったが、高濃度(1500、3000mg Cu/kg soil)では、顕著な減少が見られた(74%、61%)。光合成速度はいずれの濃度でも、減少した(93.4%、84.5%、6.6%、0%)。これらの結果から、高濃度の銅ストレス条件下で、菌根菌感染により、樹木の銅耐性を向上させることはなかった。また、菌種により成長への影響が異なっていたことから、今後、他の菌種についても、検証する必要がある。
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