2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08436
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 將 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALAM Mohammad Ashraful 国立大学法人琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ハタ / 性分化 / 性転換 / 精子形成 / 女性ホルモン / 男性ホルモン |
Research Abstract |
ヤイトハタEpinephelus malabaricusの生殖腺の性分化過程を組織学的に観察した。また、性分化と性ホルモンとの関係を明らかにするために、ステロイド代謝酵素のコレステロール側鎖切断酵素(SCC)、アロマターゼ(arom)および11β-水酸化酵素(11βH)の発現を免疫組織化学的手法により調べた。孵化直後から39日目までの生殖腺は、大型で少数の始原生殖細胞と生殖細胞を取り囲む体細胞からなる性的に未分化な状態であった。孵化後47〜74日目にかけて、生殖腺の体側側に2つの体細胞の集塊が出現した。この集塊はその後の発達から他の硬骨魚で見られる卵巣腔形成と一致したことから、卵巣腔の分化であると判定された。孵化後74日目の生殖腺は、全ての個体で卵巣腔の形成が認められ、全個体の生殖腺は卵巣として分化することが明らかとなった。生殖原細胞の卵母細胞への分化は、卵巣腔の形成から遅れて、孵化後243日目あたりに始まった。ステロイドホルモン合成のマーカーとなるSCCおよび雌性ホルモン合成に関与する酵素のaromは、形態的な性分化以前の孵化後18日目の生殖腺に既に発現が見られた。雄性ホルモン合成に関与する酵素の11βHは、形態的な性分化か完了する孵化後74日目前後ではじめて発現が見られた。このように雌性ホルモン合成に関与するaromが性分化期以前に発現し、卵巣分化に伴い陽性細胞が発達することから性分化には内因性の雌性ホルモンが重要な働きをしていることが示唆された。性分化直後の未熟な個体で17α-Methyltestosterone(MT)経口投与による早期性転換誘導を試みた。六ヶ月投与した個体の生殖腺では、活発な精子形成が行われていた。このことから、ヤイトハタの未熟な卵巣中の生殖細胞は、卵、精子の両方に分化できる潜在能力を持つことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)