2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる心血管系の疾患蛋白質の酸化修飾・変性の解析と臨床的意義の解明
Project/Area Number |
08F08465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED Ramadan 東京大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Keywords | 循環器・高血圧臨 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究では、酸化修飾・変性の評価法を開発し、病態解明ならびに新算法の開発を行う計画である。生活習慣病に代表される経年的な変性病態において、蛋白質の酸化修飾・変性は中心的な役割を果たす。蛋白質は酸化修飾を受けると16Daの質量増加を示すが、微細な変化のため従来検出不可能であった。しかし、最近の質量分析技術により、酸化修飾をはじめとする翻訳後修飾による蛋白質の微量な質量変化の検出、測定が可能となった。本研究では、質量分析計を使用した蛋白質の酸化修飾・変性の測定法を開発する。さらに、その臨床的意義を検討し、さらに臨床応用が可能な診断法を確立することを目的とする。 具体的なワークフローは、(1)患者から血液を採取し、(2)蛋白質の酸化修飾を質量分析計で検出し、(3)酸化蛋白質を包括的に解析するとともに、特定の疾患蛋白質(リポ蛋白質LDL,HDL等)の酸化修飾を検討する。次に、(4)疾患病態発症のメカニズムを解析し、酸化修飾の臨床的意義を動脈硬化性心血管疾患患者(虚血性心疾患、心不全)で検討し、(5)病態における役割の解明ならびに診断測定系としての臨床応用を図る。 初年度となる平成20年度は、ELISA法を用いて血液中の酸化LDLの代表的な構造の一つであるMDA-LDL(マロンジアルデヒド修飾LDL)濃度の測定法を確立した。ELISA法によるLDLのMDA化の定量は、後にプロテオミクスによる酸化修飾・変性を解析する際の指標となる。ELISA法確立の後、実際の患者および健常人血清を用いた検討を行った。基本的には患者(心血管疾患)対健常人の差を疾患別に解析した。冠動脈形成術後の再狭窄、虚血性心疾患、心不全等の動脈硬化性心血管疾患患者とMDA-LDL値との相関解析を中心している。まだ、解析開始後数ヶ月程度であることから十分なサンプル数が得られていないが、来年度に継続することにより、疾患との相関関係が明らかになる。
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